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2009年1月16日金曜日

第12話:反逆釈尊(提婆達多反逆)


提婆達多は、釈尊の従弟で、年も同世代だったようです。
青少年時代は、学業もスポーツも共に大変優秀だったのですが、提婆達多は、両方とも釈尊に今一歩およびませんでした。
また、ひじょうに我の強い性格だったようです。
そんなことから、提婆達多は、釈尊に強いコンプレックスを感じていたようです。
出家後も、その強い我は直らなかったのです。
そして、大きくなった教団を牛耳ってみたいという気持ちを抑えることが出来ませんでした。


また、釈尊はもちろん、教団の幹部はみな神通力(超能力)を持っていました。
これは、仏道を真に修行すると自然と会得してしまうものなのです。つまり、神通力の会得は二次的なものなのです。
しかし、提婆達多は、すでに神通力を得ている比丘から、神通力だけを伝授してもらいます。
すると、仏道修行で長年抑えていた我が閾値を超え、釈尊何するものぞと、教団を乗っ取ろうと、釈尊の命を狙ったり、いろいろ企てます。
しかし、その企ては、すべて失敗し、自暴自棄になり、悪行を重ね、地獄に落ちたと仏伝にしるされています。


そんな提婆達多のことを、釈尊は、以下のように仰っております。



等正覚を成じて広く衆生を度すること、皆提婆達多が善知識に因るが故なり

(仏の悟りを得て多くの人々を救うことができるのも、みんな提婆達多が善き友のお陰である)



これは、どういうことかというと、提婆達多反逆の苦を通して、自分自身が逆に成長できたということだと思います。
その結果、多くの人々を救うことができた・・・。
また、その奥には、法句経の『恨みに報いるに恨みをもってしない』があったのだと思います。

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