・はじめに
立正佼成会会員がほぼほぼ朝夕に読誦する所依の『経典』は、法華三部経(無量義経、妙法蓮華経、仏説観普賢菩薩行法経)のエキスをまとめたものです。それを分かりやすく解説した本が「釈尊のいぶき」です。本コンテンツは、その「釈尊のいぶき」の一部の解説サマリーです。
そして、本コンテンツの一番の目的は、所依の『経典』の内容理解です。
尚、本コンテンツを作成するに当たって以下のページを大変参考にさせていただきました。
・https://www.kosei-kai.or.jp/official/faith/creed/creed-4-5/
・経文(「釈尊のいぶき」での抜粋)
仏の言わく、善男子、第一に、
是の経は能く菩薩の未だ発心せざる者をして菩提心を発さしめ、
慈仁なき者には慈心を起さしめ、
殺戮を好む者には大悲の心を起さしめ、
嫉妬を生ずる者には随喜の心を起さしめ、
愛著ある者には能捨の心を起さしめ、
諸の慳貪の者には布施の心を起さしめ、
憍慢多き者には持戒の心を起さしめ、
瞋恚盛んなる者には忍辱の心を起さしめ、
懈怠を生ずる者には精進の心を起さしめ、
諸の散乱の者には禅定の心を起さしめ、
愚癡多き者には智慧の心を起さしめ、
未だ彼を度すること能わざる者には彼を度する心を起さしめ、
十悪を行ずる者には十善の心を起さしめ、
有為を楽う者には無為の心を志さしめ、
退心ある者には不退の心を作さしめ、
有漏を為す者には無漏の心を起さしめ、
煩悩多き者には除滅の心を起さしむ。
善男子、是れを是の経の第一の功徳不思議の力と名く。
・訳文
仏さまはこのようにお説きになりました。この経には第一に、次のような功徳があります。
まず、大乗の教えを学んでいても、まだ心底から仏の智慧を得たいという心を起こしていない者に、心底から仏の悟りを得たいという心を起こさせます。
また、人を幸せにしてあげようという気持ち(慈仁)のない者には、情け心(慈心)を起こさせます。
人を苦しめたり、生き物を殺したりすること(殺戮)を好む者には、かわいそうだと思う心や、苦しんでいる人を助けてあげたいという心(大悲の心)を起こさせます。
自分よりすぐれた人や幸福そうに見える人に妬み心(嫉妬)を感じるくせのある者は、仏さまの前ではみな平等な人間であるということがわかり、その真理の発見に対する心からの喜び(随喜)が起こるために、人を妬む気持ちがなくなります。
さらに、地位や財産、愛する人などに必要以上に執着(愛著)しているため、誤った行ないをしたり、自分の心を苦しめている者は、捨てるときにはいつでも捨てることができるという、とらわれのないのびのびとした気持ち(能捨の心)を持つようになります。
また、もの惜しみする心や、むやみに欲しがる心(慳貪)が強かった者は、人のために施そうという心(布施)がわいてきます。
自分は悟っている、行ないにもまちがいはない、というおごり高ぶった心(憍慢)の多い者も、この教えを聞けば、自分の心や行ないのまちがいが見えてくるために、仏の教えられた戒めを守って修行しようという謙虚な心(持戒)になります。
自己中心の心から、すぐ腹をたてるくせのある(瞋恚)者は、どんなことが起きても怒りや恨みの心を起こさなくなります(忍辱)。
怠けたり、つまらぬことに打ち込んでいる(懈怠)者も、自分の進むべき道を真剣に歩むようになります(精進)。
まわりの状況が変化するたびに心が乱れ、動揺する(散乱)者も、この教えを聞けば、変化している現象もその本質においては常に大調和しているという真実がわかってくるので、いつも静かで安定した心(禅定)になります。
目の前のことしか見えず、あとさきの分別ができない(愚痴)者は、智慧の心が働くことで縁起の道理がよくわかり、心も頭も澄みきってきます。
ほかの人を救ってあげよう(彼を度する)という心をまだ起こしたことがない者でも、自分だけがこの世に生きているのではないということがわかるので、自分も他人も一緒に救われなければ、ほんとうの幸せはないという真実に目覚め、ほかの人を救おうという気持ちが自然とわいてきます。
また、いろいろな悪い行ない(十悪)をする者には、それらの悪行をすべて払い去った清らかな境地に達しようという心(十善)を起こさせます。
現象面の幸福ばかりを追って右往左往している(有為を楽う)者は、現象世界の奥にある大いなるいのちに生かされているという事実に目覚め、自己中心ではない心(無為の心)が生じます。
信仰心があともどりする(退心)傾向のある者は、一歩も退くことのない不動の信仰心(不退の心)が起きてきます。
煩悩のおもむくままにものごとを行なう(有漏を為す)者は、真理にそってものごとを行なう心(無漏の心)が起こります。
さらに、煩悩が多く、自ら心を苦しめている者には、真理を見つめることによって、煩悩をなくしてしまおうという心(除滅の心)を起こさせます。
これがこの経の第一の功徳の力なのです。
・補足
無量義経は、釈尊が妙法蓮華経(法華経)をお説きになる直前に説法された教えです。
法華経も無量義経から入ってこそ、ほんとうによく理解できることから、法華経の開経と呼ばれています。
無量義経は徳行品第一、説法品第二、十功徳品第三の三品で構成されています。
徳行品は、釈尊の完全円満な「徳」と衆生を救いきる「行」のすばらしさを讃歎した品です。
説法品は、釈尊が実相ということをお説きになった、無量義経の理論的中心となる品です。
十功徳品は、説法品で説かれた教えをほんとうに理解し、実践した人が受ける功徳を十に分けて説かれます。
今回ご紹介した経文は、十功徳品抜粋で第一の功徳の部分ですが、第一の功徳だけでも、これほどたくさん(17個も)あるのです。
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